大腸肛門機能診療センター

機能性ディスペプシア

疾患概要

原因となる疾患がないのにも関わらず、慢性的に胃の症状が続く状態です。胃十二指腸の運動障害や胃が適切に膨らまずに、上腹部の膨満感を感じます。

症状

胃が痛い、胃がもたれる、吐き気がする、気持ち悪い、 食事開始すぐに胃が膨れた感じがして、それ以上食べられなくなる。 その他、胸部灼熱感、胸部違和感など上腹部の様々な症状が出現します。

原因

  • 胃排出能異常:自律神経障害にて胃の動きが障害され、食べたものが胃に停滞します。
  • 胃適応性弛緩の異常:通常食事が胃に入ると、胃は自然に拡張して食事を貯めます。この働きが障害されると、食事開始後に少ししか食べていなくても満腹感を来し、それ以上食べられなくなってしまいます。
  • 胃十二指腸知覚過敏:動きの問題ではなく過敏な状態のために、少しの量の食事で満腹感が生じてしまいます。
  • 心理的要因:うつ病や過度の不安によって、症状が出たり、胃十二指腸が過敏な状態になってしまうことがあります。
  • 胃酸が刺激となり腹部症状が出現することがあります。
  • アルコール、喫煙、生活習慣の乱れが上記の要因を引き起こすことがあります。
  • その他、ヘリコバクターピロリやサルモネラ菌がFDを引き起こすことがあります。
  • 胃の形が変形している場合も症状に繋がることがあります。

検査

  • 胃カメラ
  • まずは胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)を行い、なにかできていないかどうか、異常がないかどうかを調べます。

  • 胃排出能検査
  • 水やスープを飲んで、どれくらい胃の中に残るかを見ることによって胃の動きを測定します。飲水する前後に腹部超音波検査を行います。

治療

胃の運動が低下している場合には消化管運動改善薬を内服します。 (モサプリドクエン酸、六君子湯など)

また、食事、日常生活の見直しのため、コンチネンスアドバイザーナースが行っている消化管運動ケア外来にて、検査の結果に応じた食事の指導を行います。例えば胃拡張不十分の場合には食事を分割して摂取するなどの工夫について指導します。その他日常生活を規則正しく送るための相談を行います。

ケア外来の結果で日常生活に不安がある場合などは抗不安薬や抗うつ薬を内服したり、心療内科受診を検討します。

その他には、胃酸の分泌を抑える薬(H2ブロッカー、プロトンポンプ阻害薬)を処方します。

ピロリ菌などが関与している場合には、原因菌に応じた処方を行います。

*場合によっては入院をして、管理栄養士による食事療法や薬剤師による薬物療法などを行う場合もあります。

大腸肛門機能診療センター

高野 正太

大腸肛門機能(直腸や肛門のはたらきと形状)を、最先端機器と豊富な知識で運動・感覚両面から捉え検査・診断を行い、最適な治療法を選択しています。筋電図検査による簡易筋電図法を確立するなど専門病院ならではの充実した検査体制に加え、医師をはじめコンチネンスリーダーと呼ばれる排泄ケア専門看護師を配置し、臨床検査技師、理学療法士、薬剤師、管理栄養士、診療放射線技師、医療ソーシャルワーカー、臨床工学技士などによるチーム医療で生活指導や集学的治療を実践しています。

院長
大腸肛門機能科部長
大腸肛門機能診療センター長

高野 正太 (たかの しょうた)