心療内科

線維筋痛症

疾患概要

線維筋痛症はストレスが原因で身体の症状が起こる「心身症」のひとつで、最も重症なものです。40代から50代の女性に最も好発しますが、10代で発症する人もいますし、男性の患者さんもいます。この病気は別名「”生き方“の生活習慣病」とも言われており、患者さんは頑張りすぎる傾向があり、忍耐強く、人に甘えたり頼ったりすることが苦手な方に多く見られます。

症状

全身の痛みを主症状とします。痛みはしばしば「針で刺されているような」「刃物で切り付けられているような」「皮膚をはがされているような」と形容され多彩です。 また、痛み以外に、疲労感、全身倦怠感、睡眠障害、抑うつ、腹部症状(腹痛や便秘、下痢)などの症状を伴うことがあります。

原因

線維筋痛症の原因はまだ明らかとなってはいませんが、幼小児期の逆境体験や思春期・青年期・成人期のさまざまな心理社会的なストレスが積み重なって準備状態が形成され、そこに交通事故や手術・何らかの病気といった発症要因となるようなイベントが加わり、発症するものと考えられています。

検査・診断

線維筋痛症以外の疾患が潜在している可能性を除外する為、全身の精査を行います。身体診察・血液検査・尿検査・各種画像検査・各種生理検査を行います。また、線維筋痛症と診断された場合は、さらに心理社会的な要因について病態の評価を詳しく行います。

治療

当院では、線維筋痛症に対しては薬物療法と心理療法を行っています。

  • 薬物療法

プレガバリン(リリカ🄬)・デュロキセチン(サインバルタ🄬)・アミトリプチリン塩酸塩(トリプタノール🄬)・トラマドール塩酸塩(トラマール🄬)などがよく用いられます。

  • 心理療法

心理療法は外来でも可能ですが、通常は入院下で行われます。ライフ・レビューという手法を用いて、患者さんのこれまでの人生を丁寧に振り返り、治療者が患者さんのことを深く理解することを目指します。この過程において、患者さんは心身相関(心と身体がつながっていること)への気づきを得て、これまでのように我慢することをやめ、環境や行動を変えることができるようになります。そうすると、症状は軽快していきます。その他、線維筋痛症の患者さん達は何事も“頑張りすぎる”傾向がありますので、仕事や家事のペースを落として、休息をしっかり取ること、特に睡眠時間をたっぷり取ることが重要です。また、「明日できることは今日しない」こと、「“頑張らない”を頑張る」こともすべての線維筋痛症患者さん達にお伝えしていることです。

監修:宮﨑博喜

心療内科

宮﨑博喜

原因の分からない身体の不調が起こり、病院を受診してもなかなか診断がつかないような症状に対して、心の部分も含めて診るのが心療内科です。心身ともに辛い状況に置かれている患者さんが安心して治療に専念し、日常生活が送れるよう、医療ソーシャルワーカーとともに、各診療科やセンターと連携しながら患者さんに寄り添う診療をしています。

宮﨑博喜 (みやざき ひろき)