おなかのはなし一覧
-
大腸がん
大腸がんとは大腸(結腸・直腸)の内側の粘膜に発生するがんで、腺腫という良性のポリープががん化して発生するものと、正常な粘膜から直接発生するものがあります。大腸は、栄養吸収がおおむね終了した消化管液から水分を吸収し、便を形作る役目をしています。身体には吸収した水分を浄化して血液中に取り込んでいくメカニズムがありますが、粘膜から発生したがん細胞も、基本的にはこのメカニズムに沿って進展していきます。
日本人ではS状結腸と直腸にがんができやすいといわれており、高齢化と食生活の欧米化などにより年々罹患数が増えています。大部分は生活習慣によるものですが、他にも遺伝性大腸がんや、潰瘍性大腸炎・クローン病患者にみられる長期の慢性炎症から発生するがんもあります。 -
大腸ポリープ
大腸の粘膜面がいぼ状に盛り上がった病変の総称です。あくまでも形態的な用語で、隆起の原因は問いません。ポリープの形も様々で、有茎性(キノコのように茎があるもの)、無茎性(茎の無いもの)、亜有茎性(両者の中間)など、またはほとんど扁平な形のポリープもあり、表面隆起型、表面平坦型、表面陥凹型などと呼ばれています。
大腸ポリープは、食道、胃、小腸を含めた全消化管ポリープの約80%を占め、大腸の中ではS状結腸から直腸に約70%ができます。性別では、およそ2:1の割合で男性に多く、年齢別では各年代に発生しますが50代~70代で過半数を占めます。
はじめはごく小さな粟粒ほどの大きさですが、次第に大きくなっていくものもあり、大きくなるとがん化する率も高くなります。ある程度の大きさなら内視鏡で完全に取ることが可能ですので、早期に発見することが必要です。 -
便秘症
これまで便秘は3日以上排便がない状態などと言われていましたが、明らかな定義はありませんでした。2017年に出版された「慢性便秘症診療ガイドライン」によると、便秘とは「本来対外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義されています。つまり、毎日排便があったとしても十分に快適に排便できていない場合は便秘として診療しようとされています。一方で、1週間に1回でもすっきり定期的にお通じがある人は便秘と呼ばないということになっています。しかし、一般的には3日以上に1回や週に2回以下の場合、便秘と呼ぶことが多いです。
-
神経因性骨盤臓器症候群(NIS)
かねてより慢性的な肛門の痛みや骨盤の痛みを訴えて来院される患者様が多くみられ、仙骨や尾骨・靭帯・筋肉などの痛みと考えられていました。あちらこちら病院を受診されても原因が分からず、治らないため長い間苦しんでおられる方も少なくありません。しかし、よく観察すると、腰椎から出て肛門に至る仙骨神経に沿って圧痛ある硬結を認め、ここから痛みが発生していることが分かりました。
-
虚血性腸炎
大腸に血を送る血管の血流が阻害されることで大腸に炎症が起こる。高齢者に起こりやすい病気です。
-
大腸憩室疾患(大腸憩室出血・大腸憩室炎)
大腸粘膜が腸管壁を貫いて外側に突出し、袋状になった状態を言います。
-
鼡径ヘルニア
足の付け根部分のことを「鼡径部(そけいぶ)」といいます。
「ヘルニア」とはもともとはラテン語で飛び出すという意味で、鼠径ヘルニアとは足の付け根から小腸やお腹の中の脂肪などの組織が出てくる病気です。本来ならばお腹の中に収まっているはずの腹膜や腸の一部が、鼡径部の筋膜の間からはみ出して皮膚の下に出てきてしまう、俗にいうところの「脱腸(だっちょう)」のことです。 -
胃がん
胃がんは、胃の壁の内側をおおう粘膜の細胞が何らかの原因でがん細胞となり、無秩序に増えていくことにより発生します。がんが大きくなるにしたがい、徐々に粘膜下層、固有筋層、漿膜へと外側に深く進んでいきます。
がんがより深く進むと、漿膜の外側まで達して、近くにある大腸や膵臓、横隔膜、肝臓などにも直接広がっていきます。このようにがんが浸み出るように周囲に広がっていくことを浸潤といいます。がんが漿膜の外側を越えると、おなかの中にがん細胞が散らばる腹膜播種が起こることがあります。また、がん細胞がリンパ液や血液の流れに乗って移動し、胃から離れた別の臓器で増える転移が起こることもあります。
なお、胃がんの中には、胃の壁を硬く厚くさせながら広がっていくタイプがあり、これをスキルス胃がんといいます。スキルス胃がんは進行が早く、腹膜播種が起こりやすい特徴があります。また、内視鏡では診断することが難しい場合もあります。症状があらわれて見つかったときには進行していることが多く、治りにくいがんです。 -
潰瘍性大腸炎
潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis / 頭文字をとって「UC」という略称も使われます)は、大腸の粘膜に炎症が起こり、潰瘍ができる炎症性の腸疾患です。炎症は直腸から広がり大腸全体におよぶ場合もあり、病変の広がりや経過によって細かく分類されます。また、病期により症状が出ている時期を「活動期」、症状が出ていない時期を「寛解(かんかい)期」に分類されます。
- 1
- 2